【墨・硯】について

墨の基礎知識

原料

固形の墨の原料は煤(すす)膠(にかわ)、香料です。

煤には大きく分けて、油を燃やして採煙する油煙と、松の木を燃やして採煙する松煙があります。 現在多く使われているのは前者の油煙です。(油煙は粒子が細かく作品に光沢が出ます。それに対し松煙は粒子が粗く、光沢の無い、光を吸収する黒になります。)

膠は動物性のたんぱく質で、本来水には溶けない煤を包み込み、水の中で安定させるのが役割です。また、紙の上に置かれた煤を定着させる接着剤としての役割も持ちます。

墨に使われる香料には、麝香(じゃこう)、竜脳(りゅうのう)、白檀(びゃくだん)などがあり、膠の臭い消しと香り付けのために入れられます。

墨の大きさ

墨には一般的な長方形のほかに、丸型や八角形など様々な形があるため、墨の大きさは重さで表記されます。日本の墨の場合には、15gを1丁型と定め、その何倍かで表記します。つまり、3丁型は45g、5丁型は75gと言った具合です。(一般的な長方形の場合、1丁型は長さ7~8g3丁型は11g5丁型は13g10丁型17g位です)
中国の墨は反対に、500gを基準としてその何分の一かで表します。1/2は250g、1/4は125g、1/8は約65gとなります。

※墨の材料や作り方により多少、寸法の大小があります。

良い墨色を出すために重要な硯を選ぶ

「良い墨をだすために重要なのは墨でなく硯だ」という方がいらっしゃるくらい同じ墨を磨っても硯によって大きく違ってきます。様々な硯の中から気に入ったものをお選びください。

硯の基礎知識 – 硯石の種類

羅紋(らもん)石
江南省で産出され、産出量が多いために安価で、学童用としても広く使われています。石色は灰黒色で、薄絹をあわせたような細かな石紋が特徴です。
端渓(たんけい)石
中国を代表する硯石で日本でも有名です。代表的な硯石には老坑(ろうこう)、坑仔巌(こうしがん)、麻子坑(ましこう)などがあります。
歙州(きゅうじゅう)石
安徽省竜尾山で産出される硯石で、石質は非常に堅密です。
新澄泥(しんちょうでい)石
江蘇省の霊巌山に産出する硯石で、石質は粗く、石色は黄色、赤色、緑色等があります。